塾講師で行政書士の 徒然日記
仕事に関係あることやないこと、趣味の神社巡りやその時その時に感じたこと、思ったことを気ままに綴ってます。業務に関しては、本ブログのリンクから当事務所のホームページをご覧ください。
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民法改正と実務の影響(売買契約法)
迫りつつある民法の大改正。

ということで、昨日、研修会『民法改正と実務への影響』へ。


全四回のシリーズもので、今回は第二回「売買契約法」です。
ちなみに、第一回は都合が合わず欠席でした...

で、自分の頭を整理するのも兼ねて、その内容をしたためてみたいと思います。


内容は、時間も限られていたため、5つのテーマに絞られました。
それぞれ、「手付」「危険負担」「契約の解除」「債務不履行による損害賠償」「瑕疵担保責任」となります。

では、以下に内容を。

1.手付(民法557条改正)
例)AがBからCの土地を購入する旨の契約をした。
 Aは契約時にBに手付金を支払い、その後、Bに履行の請求をした。
 Bは、この請求を拒否し、Aに手付金の倍額を提供することで、契約の解除の主張した。
 なお、Bが解除を主張したとき、BはAへの転売目的のために、Cから当該土地を購入し、所有権移転登記もしていた。


この場合、いわゆる手付倍返しにより、売主は契約の解除を主張することが可能です。
しかし、現行557条ではこうあります。
  「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは~解除することができる」
例の通り、Bはすでに履行に着手しています。
ということは、この契約解除は認められないのでしょうか?
判例等によると、この解除は認められるはずです。
解除を主張されたAに損害は出ないはずですからね。
つまり、大事なのは、解除を主張された相手に損害が出るのかどうか。
今回は、解除を主張したBが履行に着手しており、そのBの都合で解除するわけですから、特に問題ないのです。

そこで、その辺の曖昧さを取り除くために、557条はこのように改正されます。
  「~契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着した後は、この限りでない。」
といことで、解除する側でなく、解除される側が履行の着手をしているかどうかが問題になることを明確にした形になります。
また、今回のように売主が解除する場合は、手付の倍額を「現実に提供」することが要件であることも明記されました。


2.危険負担(534条,535条削除など)
例)10月1日、Aは、Bから住宅を購入する旨の契約をし、引渡しを11月1日とした。
 しかし、10月20日、火災により当該住宅は焼失した。


いわゆる不能の状態です。
そもそも、不能には、原始的不能後発的不能があります。
時系列で並べると以下のような感じです。
 原始的不能⇒契約成立⇒後発的不能⇒引渡し⇒瑕疵担保責任

現行法では、不能は以下のように対処されます。
●原始的不能 
  全部不能の場合…そもそも家が無かったという状態なので、契約自体が無効になります。
  一部不能の場合…例のような特定物であれば、契約は成立したものとみなし、現状のまま引渡し、
              あとは瑕疵担保責任の問題になります。つまり、売主Bは無過失責任です。
              不特定物であれば、債務不履行の問題としてみられるのですが、目的物が
              特定物であるか不特定物であるかの違いで、売主Bの負担が変わることになります
●後発的不能
  債務者Bに帰責事由(故意又は過失)がある場合
              債務不履行として扱われ、Aは損害賠償請求や契約の解除が可能です。
  債務者Bに帰責事由(故意又は過失)がない場合
              危険負担の問題となり、債権者Aに帰責事由があればAの負担となり、AはBに代金を
              支払う義務があります。
              どちらにも帰責事由がなく不可抗力だった場合、特定物であれば債権者Aの負担で、
              やはり、AはBに代金支払い義務があります。
              不特定物であれば、債務者Bが新たに目的物を用意する必要があります。

例では、契約成立後の不能なので、後発的不能。
そして、火災が原因なのですが、詳細を設定していませんが、不可抗力としましょう。
すると、特定物なので、この場合はAは家を手に入れることができず、代金は支払う、ということに...

では、改正後はどうなるのか。
この危険負担を定めた534条とそれに関連する535条が削除され、危険負担という考え方がなくなります
その結果、以下のような対処になります。
●原始的不能
  全部不能の場合…変わらず契約自体が無効です。
  一部不能の場合…事実上、債務不履行の問題として一本化して扱われることになります。

●後発的不能
  債務者Bに帰責事由がある場合
              変わらず、債務不履行による損害賠償請求や解除が可能です。
  債務者Bに帰責事由がない場合
              債権者Aに帰責事由があれば、変わらずAに代金支払い義務だけが残ります。
              不可抗力であれば、特定物の場合、契約の解除をすることが可能になります。
              また、反対給付(例であれば家はなくなったがAがBに代金を支払うこと)の履行拒絶
              可能であるであることが536条に明記されました。

●引渡し後の滅失・損傷
  債務者Bに帰責事由がある場合
              567条で新設され、その反対解釈として、AはBに「履行追完」「代金減額」「損害賠償」「契約解除」
              を求めることができます。
  双方に帰責事由がない場合
              567条通り、Aは上記の事柄がいずれもできず、また代金支払い義務も残ります。



3.契約の解除(541条など改正)
例)10月1日、Aは、Bから住宅を購入する旨の契約をし、引渡しを11月1日とした。
 しかし、10月20日、落雷により当該住宅は焼失した。


上で見たように、現行法であれば、後発的不能で不可抗力によるもので特定物なので、Aに代金支払い義務だけが残ることになります。つまり、危険負担です。

改正後は、解除が可能になるのですが、ここで解除には以下のような区分ができます。
法定解除で定められた解除。
約定解除契約書で定める解除。
合意解除…当事者が納得し、合意することでできる解除。

今回は、そのうちの法定解除なのですが、現行法で「履行遅滞による解除」「履行不能による解除」に区別されている状態が、「当事者の一方がその債務を履行しない場合」に一本化されることになります。
そして、その中で、「催告解除」「無催告解除」という、催告が必要かどうかという部分で区別されることになりました。

感覚的には、契約の解除に対するハードルが下がった感じで、債務者の帰責事由も要件からなくなっています。
ただし、債権者に帰責事由がある場合は、解除権が行使できない旨が543条に明記されました。

また、以前過去記事(民法改正を学ぶ)でも触れましたが、
  「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」は解除が認められません。

「軽微」とは?どの程度?
これは、今後の判例などによって確定していくのでしょう。
そして、こういったことは特に契約書作成の際にはしっかりと設定し、盛り込んでおく必要が出てきます。
基本的に、様々な事柄は当事者同士で話し合って決めるのが原則で、できる限り裁判で解決するような状況は避けるようにもっていっている感じですね。



4.債務不履行による損害賠償(415条)
例)B大学は、Aに、学生の成績を管理するコンピューター・システムを発注した。
  このシステムは特別な仕様のもので、設計にはBからAに対して詳細な説明と指示が出され、
  Aはそれに応じて設計した。
  ところが完成後、システムの欠陥により、完全には機能しなかった。
  しかし、BとAの間で交わされた契約書では、Bが行った説明・指示の不適切さにより生じた
  損害について、Aが引き受けることは予定されていなかった。



これは、Aは完全な商品を引き渡せなかったので、債務不履行の問題です。
現行法では
  「債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったとき」は債権者Bは損害賠償を請求できます。

改正法では、損害賠償の要件が詳細化され、
  「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」債務者に帰責事由がある
  場合とされています。

いずれにしても、損害賠償には帰責事由が必要なのですが、従来の判例では、帰責事由の判断基準には、債務者の債務不履行そのものが注目されているようです。
  


5.瑕疵担保責任(570条など改正)
例)中古車販売業者Aは、中古車をBに150万円で売却したが、引渡しの後に、同車のエンジンに
  重大な瑕疵のあることが発見され、全部交換が必要となることが判明した。
  なお、これに必要な費用は50万円である。


これは、引渡し後に瑕疵が発見されたということで、売主の瑕疵担保責任の問題になります。

現行法では、契約の解除、または損害賠償請求が可能です。
つまり、損害賠償額に修理費用を含めれば良いので、結果として、修理費用は払ってもらえることになります。

改正法では、瑕疵担保責任という言葉がなくなり、扱いとしては債務不履行と同じになります。
つまり、例の場合だと、「履行追完」「代金減額」「損害賠償」「契約解除」を求めることができるということです。
ただ、請求できる期間は瑕疵担保責任を引き継ぎ、1年となっているのは注意が必要でしょう。

その他、注意しておく点は、「代金減額」は原則、「履行追完」の後でなければいけません。
そして、債務不履行には含まれる「数量不足」が除外されています。




といった具合で、感覚的には、いろいろと簡素化と言いますか、一本化的なまとまり方している部分があって、分かりやすくなってきた感じがします。
ただ、上でも述べてきたように、契約書内容の重要性が増してくるのだろうな、とも思います。

まだ、施行までは期間もあるでしょうから、それまでにさらに勉強です。



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プロフィール

伊藤 淳

Author:伊藤 淳
ブログはボチボチ更新中。
趣味は、フットサル、神社巡り、音楽鑑賞(主にHR/HM、アニソンなど)。
現在、行政書士として、京都、奈良を中心に活動中。京都府木津川市の進学ゼミエストという塾で塾講師もやっています。
行政書士業務については、リンクより当事務所のホームページをご覧ください。


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