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塾講師で行政書士の 徒然日記
仕事に関係あることやないこと、趣味の神社巡りやその時その時に感じたこと、思ったことを気ままに綴ってます。業務に関しては、本ブログのリンクから当事務所のホームページをご覧ください。
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民法改正と実務への影響(賃貸借法)
迫りつつある民法の大改正。

ということで、先日、研修会「民法改正と実務への影響」へ。


全四回のシリーズもので、先月に続き今回が第三回となります。
前回の記事はこちらです。(過去記事「民法改正と実務への影響(売買契約法)」)


売買契約法が中心だった前回に続き、今回は賃貸借法が中心の内容でした。
今回も、自身の忘備録及び頭の整理を兼ねてしたためたいと思います。
では、さっそく内容へ。



1.賃貸借の存続期間(民法604条)
これまでの賃貸借の存続期間は「最長20年」でした。
もし、それ以上の年数で契約を結んでも、20年になってしまいます。
もちろん、更新が可能ですが、更新後も「最長20年」です。

それが、今回の改正で「最長50年」へと延長されます。
ただし、借地借家法29条2項により、建物の賃貸借にこれは適用されず、現行通りとなります。

注意点としては、改正民法の施行日以前に締結されたものは現行通りで良いのですが、施行日以降であれば新たな契約の締結、そして更新の場合でも、改正後の内容に基づくことになります。
これは、存続期間に限ったことではないので、新たな契約締結ではもちろんのこと、更新の場合も、しっかりと内容を確認する必要が出てきます。




2.不動産の賃借人たる地位の移転(民法605条の2)
例)AはB所有地を賃借していたが、その契約期間中にBはその土地をCに譲渡した。
      B ―→ 賃貸借 ―→  A
    (土地)
      ↓譲渡
      C

●譲受人Cが新賃貸人になる。(C=所有者・賃貸人)
 この場合、まず譲受人Cは、対抗要件を備えれば、新賃貸人としての地位を取得できます。(新605条の2の2項)
 この対抗要件とは、基本的には賃貸借権を登記することです。
 その他、借地借家法に基づく要件も認められていますが、それは以下の項目で。

 そして、新605条の3より、賃借人の同意は不要とされています。

 また、新605条の2の4項により、敷金返還債務や費用償還債務も譲受人Cへ移転します。
 ただ、このことについては、譲渡前にすでにB-A間に存在した家賃滞納などをどう処理するのか、例えば、BはAから敷金
 40万円を受け取っており、Cへの譲渡時にAの家賃滞納が20万円あった場合、譲渡時に一旦清算して、敷金から滞納分
 を差し引いた20万円がCへと引き継がれるのか、といったことは規定にないので、そういったことは契約書に盛り込むこと
 が必要になります。


●賃貸人の地位は譲渡人Bに残し、かつ譲受人Cが譲渡人Bに当該物件を賃貸する。(C=所有者・賃貸人,B=転貸人)
 新605条の2の2項により、譲渡人への賃貸人の地位の留保が可能です。
 この場合、譲受人Cと譲渡人Bは賃貸借、譲渡人Bと第三者Aは転貸借の関係になります。(新613条)
 つまり、転借人Aは賃貸人Cに直接、家賃の支払い等を行うことになります。 

 また、賃貸人Cと賃借人Bとの関係が解消した場合、C-A間の賃貸借関係に切り替わることで、転借人Aの地位の安定を
 図っています。




3.不動産の賃借人による妨害の停止の請求等(新605条の4)
例)A所有のアパートの一室を賃借するBは、隣室のCの騒音に悩まされている。

現行では、所有者であるAは、所有権に基づく妨害排除請求が可能ですが、賃借人であるBにはできません
つまり、Bは、Aに対して、Cに何かしらの対応を請求するということしかできないのです。

それが、新605条の4では、債権者代位権の転用のような感じで、不動産賃借人の妨害排除請求権を規定しています。
これにより、BはAの代わりに、Cに直接対応することが可能になります。

では、どんな場合でも直接対応してしまっていいのかというと、そういうわけではなく、条件が以下の2点あります。
 ●賃借人が対抗要件をそなえていること。
 ●第三者にによる占有又は占有の妨害があった時のみ可能。

まず、賃借人の「対抗要件」と何か。
条文には、「605条の2第1項に規定する~」とあり、新605条の2ではこうあります。
   「前条、借地借家法第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、
   その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。」

「前条」というのは登記です。
が、現実として、これを登記すると貸主にとって面倒なことが多いため、応じてくれないいことが普通です。
では、結局意味がないのか...? というと、そうでもなく、「借地借家法第十条又は第三十一条」があります。
  ●借地借家方第十条は、登記が無くても、実際にその土地に建物を所有していれば借地権が認められる。
  ●借地借家法第三十一条は、登記が無くても、実際の建物の引き渡しがあれば、賃貸借権は認められる。

ということで、賃貸借権の登記が無くても、例のように、賃借人Bが、実際に部屋を引き渡され、住んで入れば対抗要件を満たすことにはなります。

ただ、例の場合は、「占有」に関する問題ではないので、結局、賃借人BはCに直接対応することはできませんが...




4.賃借物の修繕(新606条、新607条の2)
例)A所有物件の一室を賃借してパン屋を営業するBは、ある日、天井に雨漏りのにじみがあることに気付いた。

現行では、賃貸人に修繕義務があるだけですが、改正後は、賃借人に修繕する権利が認められることになります。

賃貸人の修繕義務については、免責事由が追加され、賃借人に帰責事由がある場合はその義務を免れます
この辺りの詳細は、契約書でしっかりと規定しておく必要があるでしょう。

そして、賃借人の修繕する権利については、以下の2つの要件が課されています。
  ●賃借人から賃貸人へ修繕が必要である旨の通知し、賃貸人がそれを知ったのに、相当の期間内に修繕しないとき。
  ●急迫の事情があるとき。

特に、2つ目の要件ですが、これは、既存の判例でも、その危険を放置したことで賃借人が深刻な損害を受けたのですが、賃借人が放置したことに問題があった、つまり、賃借人は危険なことが分かっているなら、賃貸人の修繕をただ待つのではなく、別の店舗を探す等するべきだった、とされています。




5.賃借物の一部滅失等による賃料の減額・解除(新611条)
例)Bは、A所有土地を賃借し、宅地開発を行っていたが、突然の災害によりなかなか買い手がつかず、当初の予測より、
 大幅な減収を強いられることになった。


これは、不可抗力による滅失なので、現行では「減額することができる」又は「解除することができる」となります。

改正後、まず、「滅失」の要件が、「その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合」を含み、拡張されました。
このことから、何を持って「使用及び収益ができなくなった場合」とするのかが問題になるので、具体的な内容は契約書に盛り込むことが必要です。

そして、「減額することができる」という文言が「減額される」ということで、当然減額へと変わっています。

また、「解除」についても、「賃借人の過失によらないこと」という要件が削除されており、使用や収益ができない場合は、一方的な賃貸借関係の解除がしやすくなります。
例とは異なり、賃借物が全部滅失すれば、賃貸借は終了です。

ただ、これらの改正は、宅地の賃貸借に限定され、耕作地や牧畜地は現行通りです。




6.賃借人の原状回復義務(新621条)、敷金(新622条の2)
色々と問題になった敷金ですが、その規定が新設されます。
現在のところ判例では、敷金は家賃の3.5倍程度までなら許容されているようです。
保証金というのも、概念としては敷金に含まれているので、形としては、敷金+礼金という形が無難なようですね。

原状回復の範囲としては、「通常損耗分」と「経年劣化分」以外で、賃借人に帰責事由があるものとされています。
ただ、このあたりは任意規定なので、当事者間で別途、賃借人の負担にするといった契約は可能でしょうが、上述の敷金の話も含めて、賃借人にあまりに不利益な内容だと、消費者契約法第十条により、無効となることも考えられるので、十分な注意が必要です。


といった感じでした。
これまで述べてきた通り、やはり、契約書の重要性が増してきそうな感じです。

次回はシリーズ最終回。しっかりと学んできたいと思います。



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プロフィール

伊藤 淳

Author:伊藤 淳
ブログはボチボチ更新中。
趣味は、フットサル、神社巡り、音楽鑑賞(主にHR/HM、アニソンなど)。
現在、行政書士として、京都、奈良を中心に活動中。京都府木津川市の進学ゼミエストという塾で塾講師もやっています。
行政書士業務については、リンクより当事務所のホームページをご覧ください。


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